また、飽きずに失礼いたします。
多くの先達の皆様方の書き込みを読むだけで時間を忘れてしまいます。
今回は特に、自分としては思い入れのある客車急行「桜島・高千穂」に関する資料や
想像すらつかなかった戦前の「セレブ(!)」な食堂車事情、
そして、食堂車の体験談等で、またまた賢くなったように思います。
さて、今回は、小生が印象に残っている鉄道が関わる「映画」について
戯言を記させていただきます。
先達の皆様方の話題にして頂ければ、眼福の極みであります。
1 昭和33年に公開された「張込み」のラストは、刑事(大木実さん)が
殺人犯(田村高広さん)を逃亡先の佐賀から東京まで護送するために乗車する
急行「西海」(だと思うのですが)が佐賀駅に到着し発車するシーンです。
迫力あるC59(?)が牽引する旧客の姿はともかく、佐賀駅の案内放送が
「西海号の停車駅は、鳥栖・・門司、下関、厚狭、小郡・・大阪、京都、
大津、彦根・・名古屋、蒲郡、豊橋・・横浜、品川、東京です。」
と独特のイントネーションで停車駅を告げ、九州からの遙かなる旅路を
想像させるくだりは印象に残っています。
まさしく、昭和30年代は東京から九州へ移動は
ある種「大旅行」であったのでしょう。
(冒頭で横浜から急行「さつま」で九州へ向かうシーンも、
当時の夜行急行列車の様子がうかがえます)
2 昭和45年に公開された「家族」は、長崎の炭坑に勤める主人公(井川比佐志さん)が、
妻(倍賞千恵子さん)や老いた父親(笠智衆さん)らとともに、
北海道の中標津町のパイロットファームまで移住するというストーリーです。
この中では、桜が咲き誇る九州から残雪深き北海道の美しい風景とともに、
様々な「急行列車」が登場してきます。
その中で最も強い印象があるのは、強行軍のなかで急死してしまった幼子の遺骨を抱いて
「トホホセ」を一路北に向かう昼行の客車急行列車(昼行の「八甲田」号でしょうか?)
に 乗車しているシーンです。
曇天の車窓風景は、東北独特の「愁い」に満ちており、
幼子を亡くした悲嘆にくれる倍賞さんの名演技と重なって
筆舌に尽くしがたい汽車旅を描いていました。
(また、青函連絡船に同乗する「渥美清さん(喜劇「急行列車」の名車掌)」の
好演が光りますね。)
3 昭和49年に公開された「砂の器」は、社会派「松本清張」の名作の映画化作品です。
この中では、今西刑事(丹波哲郎さん)らが犯人和賀英良(加藤剛さん)の
過去を辿る旅に出るのですが、
食堂車が連結された急行「鳥海」や羽越本線のローカル旧客鈍行、
さらには急行型DLによる「まつかぜ」等が
美しい日本海沿いを走行するシーンが登場する大変「鉄」色の濃い映画です。
(何度かリメイクされていますが、
リメイク作品のいずれもが「鉄」分に富んだ内容となっています。)
他にも、「飢餓海峡」や「点と線」などストーリーのすばらしさは言わずもがな、
数限りなく鉄道の名シーンが登場する映画は少なくないと思います。
いずれは消えゆくであろう「汽車旅」が描かれている映画を大切にしたいと思います。
また、投稿させて頂きます。失礼致します。
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